大学受験の英語、特に共通テストのリーディングで「時間が足りない」と感じている受験生は多いのではないでしょうか。長文の分量は増加傾向にあり、限られた時間内で正確に読み切る力が求められています。
速読というと「とにかく速く目を動かすテクニック」をイメージするかもしれませんが、本当に必要なのはそこではありません。正確に読む力の延長線上にスピードがあるのです。
この記事では、大学受験で通用する英語リーディングの速読力を身につけるための具体的なコツと練習法を解説します。今の勉強に取り入れて、読解スピードを着実に上げていきましょう。

速く読めない原因を知る
速読のコツを学ぶ前に、なぜ読むのが遅いのかを把握しましょう。原因がわかれば、対策も見えてきます。
語彙力が不足している
知らない単語が多いと、読むたびに立ち止まってしまいます。文中で意味を推測する力も大切ですが、基本的な語彙力がないと推測すら難しくなります。まずは英検2級レベル(約4,000〜5,000語)の語彙を固めることが先決です。
この水準をカバーするなら、収録語数4,000語以上の受験用単語帳を1冊決めて回すのが定番です。複数冊に手を広げるより、同じ1冊を繰り返すほうが抜けが出にくくなります。
英文を日本語に訳しながら読んでいる
「英語→日本語に訳す→理解する」というプロセスで読んでいると、どうしても時間がかかります。速く読むためには、英語を英語の語順のまま理解する「直読直解」の習慣を身につける必要があります。
返り読みをしている
一度読んだ部分に何度も戻って読み直す「返り読み」は、読解スピードを大幅に落とす原因です。英語は前から順に情報が出てくる言語なので、前から順に処理していく読み方が基本です。
速読力を上げる5つのコツ
1. 精読力を先に鍛える
意外に思われるかもしれませんが、速読の土台は「精読」にあります。一文一文の構造を正確に把握する力がないと、速く読んでも内容が頭に入りません。
まずはSVOCの文型判断、関係代名詞・分詞構文・仮定法などの構文解析を丁寧に行い、どんな文でも構造が取れる状態を目指しましょう。この力がつくと、自然と読むスピードが上がっていきます。
構文の取り方を独学で固めるなら、英文解釈の参考書が向いています。1文ごとに図解で構造が示されているタイプを選ぶと、自分の読み方とのズレを確認しながら進められます。
2. スラッシュリーディングを実践する
英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切って読む方法です。
例:The students / who studied abroad / for more than a year / showed significant improvement / in their communication skills.
スラッシュリーディングで読むことで、英文を前から順に、かたまりごとに理解していく習慣が身につきます。返り読みを防ぐ効果もあります。
3. 音読とシャドーイングで読速を上げる
音読は速読力を鍛えるうえで非常に効果的な学習法です。英文を声に出して読むことで、語順や構文の流れを体で覚え、英語のリズムを自然に身につけられます。
- 音読:テキストを見ながら声に出して読む。1つの英文を最低5回は繰り返す
- シャドーイング:音声を聞きながら、少し遅れて同じように発話する。リスニング力も同時に鍛えられる
- オーバーラッピング:音声と同時に発話する。スピード感を体に馴染ませる効果がある
いずれの練習にも音源が必要になるため、スクリプトと音声がセットになったシャドーイング用の教材があると始めやすいです。スピード違いの音源が入っているものなら、段階を踏んで速度を上げられます。
4. 設問を先に読んでから本文に入る
本文を読む前に設問に目を通しておくと、「何を探しながら読むか」が明確になり、メリハリのある読み方ができます。すべての文を同じ集中度で読む必要がなくなるため、結果的に時間短縮につながります。
特に共通テストのような情報処理型の問題では、必要な情報を素早く見つけるスキャニング(拾い読み)の力が重要です。
5. 時間を計って演習する
ストップウォッチで時間を計りながら長文を読む練習を習慣化しましょう。目標タイムを設定し、日付ごとに記録をつけると、自分の成長が目に見えてモチベーションにもなります。
同じ問題を数日後にもう一度解くと、読解スピードの向上を実感できるはずです。
計測にスマホを使うと通知で集中が切れやすいので、独立したストップウォッチを机に置いている受験生もいます。ラップ機能付きなら、大問ごとの所要時間も分けて残せます。

共通テスト対策としての速読戦略
時間配分を意識する
共通テストの英語リーディングは80分で大問6題。序盤の大問は短い英文で比較的解きやすいですが、後半になるほど英文が長く難しくなります。前半を素早く処理し、後半に時間を残す配分が基本戦略です。
グラフ・図表の読み取りに慣れる
共通テストではグラフ、メール、広告、意見文など複数の資料を組み合わせた問題が出題されます。「どの情報がどこにあるか」を素早く把握するため、日頃からさまざまな形式の英文に触れておきましょう。
ディスコースマーカーに注目する
however, therefore, in addition, on the other hand などの接続詞や副詞(ディスコースマーカー)は、文章の展開を示す目印になります。これらに注目しながら読むと、文章全体の流れを素早く把握できます。
おすすめの練習教材と方法
教科書・参考書の音読
新しい教材を次々やるよりも、一度理解した英文を繰り返し音読するほうが速読力の向上には効果的です。教科書の英文を最低10回音読することを目標にしましょう。
英語ニュースサイト
NHK WORLD-JAPANやJapan Timesなどの英語ニュースサイトは、日本に関する話題を英語で読めるため、内容理解のハードルが低くおすすめです。毎日1記事を読む習慣をつけると、読解スピードが着実に上がります。
過去問演習
共通テストや志望校の過去問を時間を計って解く練習は、本番に向けた仕上げとして欠かせません。時間内に解き終わらなかった場合は、どこで時間を使いすぎたかを分析し、次の演習に活かしましょう。
過去問は解説の厚さで使い勝手が変わります。設問ごとの正解の根拠が本文のどこにあるかまで示されているものを選ぶと、復習の精度が上がります。
- 語彙力の強化は最優先事項。単語を知らなければ速読もできない
- 「速く読む」ことだけに意識を向けない。正確さあっての速読
- 毎日の音読を欠かさない。音読は速読の筋トレのようなもの

よくある質問
Q. 速読と精読、どちらを先にやるべき?
精読が先です。文の構造を正確に把握する力がないまま速く読もうとしても、内容が頭に入らず意味がありません。精読力が身についてから、音読→時間制限付き演習と段階的に速読力を鍛えましょう。
Q. 1分間に何語読めれば十分?
共通テストの分量を時間内に処理するには、1分間に120〜150語程度の速度が目安とされています。普段の練習ではWPM(Words Per Minute)を意識して、徐々にスピードを上げていきましょう。
Q. 知らない単語が出てきたらどうする?
文脈から意味を推測する力も重要です。前後の文から「プラスの意味かマイナスの意味か」を判断するだけでも、読解に支障をきたすことは少なくなります。ただし、推測に頼りすぎないよう、日頃の語彙力強化も怠らないようにしましょう。
速読力を阻む「やりがちなNG習慣」
単語の意味を一つずつ辞書で引く
長文読解中にわからない単語が出るたびに辞書を引いていると、読みの流れが完全に止まってしまいます。演習中は辞書を引かずに、文脈から意味を推測する練習をしましょう。答え合わせのときに辞書で確認すれば十分です。
和訳を丁寧に書きながら読む
全文を日本語に訳しながら読む学習は、精読の段階では有効ですが、速読の練習としては逆効果です。英文を英語の語順のまま理解する力をつけるためには、日本語への変換をできるだけ減らす練習が必要です。
速読のトレーニングだけに偏る
速読力は「基礎力の上に成り立つもの」です。語彙・文法・構文の基礎が固まっていない状態で速読だけを練習しても効果は薄いです。基礎固めと速読トレーニングを並行して進めるのが理想的です。
その並行練習の教材としては、語数とレベルが明示された長文問題集が使いやすいです。1題あたりの語数が分かれば、WPMの計算もそのままできます。

Q. 速読力はどのくらいで身につく?
毎日の音読と週2〜3回の時間制限付き演習を続ければ、1〜2か月で読むスピードの変化を実感できるようになります。3か月継続すれば、共通テストのリーディングで時間内に全問解き終われるようになる受験生が多いです。焦らず、毎日の積み重ねを大切にしましょう。
まとめ
大学受験の英語リーディングで速読力を身につけるには、精読→音読→時間を計った演習という段階的な練習が欠かせません。語彙力の強化、スラッシュリーディングの実践、シャドーイングによる英語のリズム習得を日々の学習に取り入れていきましょう。
速読は一朝一夕で身につくものではありませんが、正しい方法で継続すれば着実に読解スピードは上がります。今日の勉強から一つずつ取り入れて、本番で時間に余裕を持てる読解力を身につけてください。
参考:駿台「大学受験の英語リーディングの勉強法」|速読情報館「速読英語トレーニングの方法」|河合塾Kei-Net「英語(リーディング)の学習法」


